住宅の基礎の構造はどうなっているの?それぞれの種類や工事中の疑問点

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皆さんは普段住んでいる家のコンクリート基礎についてどのようになっているかご存知でしょうか。

コンクリートでできていて家の土台となる部分!くらいの認識の方がほとんどではないでしょうか。

ただ基礎といっても種類がありそれぞれにメリット、デメリットがあります。

そこでそれぞれの特徴や基礎工事全般における注意事項等をわかりやすく説明をしたいと思います。

マイホームを持っている方や検討中の方、将来考えている方へ参考になればと思います。

基礎ってどうなっているの?

基礎ってどういう役割?

建物の基礎とは、文字通り建物をしっかりと支える”基礎”となるとても重要な部分になります。

人間でいうところの足になる部分で、建物の重さをしっかりを地面に分散して建物が傾かないようにしています。

鉄筋コンクリートでできていて一言に基礎といっても種類があります。

ちなみに建設業界ではコンクリートを流し込むことを「打設」もしくはコンクリートを「打つ」と表現します。

なぜ鉄筋とコンクリートなの?

基礎の材料となる「コンクリート」と「鉄筋」

普段からよく「鉄筋コンクリート」という言葉を聞きますのでそのようなものと思っていますが、なぜ鉄筋とコンクリートを組み合わせているかご存知でしょうか。

実はこの鉄筋コンクリートはこの素材同士の抜群の相性の良さから生み出されていることを、ご存知でしょうか?

各素材の力の耐性

まず、その強さを生み出しているのが、素材の力に対する耐性の違い。

コンクリートは圧縮には強い素材ですが、引っ張られる力には弱いという短所があります

そこに、粘りがあって引っ張られる力に強い鉄筋が加わることで、お互いの長所を発揮した強い躯体が生まれるのです。

コンクリートは硬いがゆえに割れてしまえばすぐ崩れていきますが、鉄筋があることによって割れても中の鉄筋が粘り簡単に崩れないようになっています。

・コンクリート

 圧縮   ○

 引っ張り ×

・鉄筋

 圧縮   ×

 引っ張り ○

火に対する耐性

次に耐火性です。鉄というのは、意外と火に弱い素材です。

とても強そうに見える鉄も、ある温度以上になると、著しく強度が下がってしまいます。

火事の後、鉄骨や鉄筋がグニャっと曲がった映像をご覧になったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

あれは、そういった理由からなんです。

そんな鉄は、やっぱり耐火性の強い素材で包んだほうがいいですよね。

これにうってつけなのが、コンクリートというわけです。

各成分の相性

鉄は酸性に弱いというのはみなさんご存知かと思います。

鉄は空気中の酸素などと反応して徐々に錆びていきます。

しかしコンクリートの成分はアルカリ性。

コンクリートの中に鉄筋を入れることで鉄が錆びることも、防いでくれるんです。

コンクリートはアルカリ性であり、錆びは酸性化したものですが

コンクリートのアルカリ分で酸化を止め、鉄筋の錆びの進行を防ぎ、鉄筋コンクリート本来の機能となる訳です

しかし、空気中の二酸化炭素がコンクリートの表面に接触すると、水酸化カルシウムと化学反応を起こして、水酸化カルシウムは中性の炭酸カルシウムと水へと変化し、コンクリートがアルカリ性を失う「中性化」が起こります。

中性化が進行し、アルカリ性が失われたコンクリートが鉄筋部分まで侵食すると、鉄筋には「錆」が発生し、錆からくる膨張、そして膨張によるコンクリートのひび割れにつながります。

このためコンクリートと鉄筋の「かぶり厚さ」が重要になります。

ちなみに、常温時の膨張率がほとんど同じです。

なのでコンクリートの中に埋めてしまっても熱の膨張によりコンクリートが圧迫してひび割れの心配がありません。

耐久性の強さも、相性の良さから来るものなんですね。

基礎の種類について

基礎の種類について大きく分けて3つあります。

ベタ基礎

床下全体を鉄筋コンクリートで打ち、基礎全体で建物の荷重を地盤に伝えます。

建物の床下全体が基礎となるため揺れに強くなります。

イメージとしては建物を面で支える感じです。

建物の荷重を面で支えるため地盤への負担を分散できます。

しかし基礎自体が重いので地盤自体が弱いと沈下の可能性があります。

また床下全体が厚いコンクリートなので地面からの湿気も伝わりにくくなります。がコンクリートを打ってから1~2年はコンクリート自身から水分(湿気)が出てきますので対策は必要です。

今はほとんどの工務店がベタ基礎が標準になってきています。

メリット

  • 建物の荷重を地面全体に分散する。
  • 地面からの湿気を防ぐ
  • 揺れに強く耐震性がある。

デメリット

  • コンクリートを多く使用するのでコストがかかってしまう。
  • 新築の場合は1~2年は湿気が出てくるため対策が必要

このように全体的にコンクリートになります。

布基礎

柱や壁下など建物の荷重がかかるところや壁に合わせて逆T字の基礎を連続して打ちます。

布基礎では床下全体を基礎コンクリートで打たないため地面が露出している状態で建築しますが、

土のところに防湿コンといわれる薄いコンクリートでつなげることもできます。

しかし防湿コンの厚みはベタ基礎程厚くはありませんので地面の湿気が上がってくることもあります。

布基礎は地中深くに基礎を打ちますのでベタ基礎よりもコストをかけずに強度を上げることができます。

ベタ基礎を深く掘ろうとすると全体が深くなってしまいますが布基礎の場合は部分的ですので比較的安易です。

場合によってはベタ基礎よりも強度が上がることがありますが多くの場合は強度はベタ基礎>布基礎です。

イメージとしてはつないだ線で建物を支える感じです。

メリット

  • コンクリートの使用量が少なくコストを抑えられる。
  • 荷重のかかるところのみに打っているので基礎自体が軽く地盤への負荷が軽い

デメリット

  • 床下空間がないのでメンテナンスが困難
  • 長期優良住宅の認定はとれない
  • 湿気やシロアリ等の害虫のリスクがある

このように土の部分は残ります。

独立基礎

柱の下にだけ基礎を打ちます。布基礎はそれぞれを基礎が連続しているのに対し、独立基礎は連続せず部分的になります。

現在の住宅では使われることはなく主に非住宅建物物に使われます。

「独立フーチング基礎」ともいい柱の位置に単独で設けられた基礎のことです。

小屋などの小規模の建物では柱の下だけなど部分的ですが

大きな建築部の独立基礎形式の場合は、独立基礎同士を「地中梁」と呼ばれる鉄筋コンクリートの梁でつなぎます。

非住宅(例えば大規模なショッピングモールや事務所ビル、マンションなど)の大規模な建築物では、独立基礎が用いられる場合がほとんどです。規模が大きくベタ基礎や布基礎を用いることは、基礎自体がひじょうに重くなるので構造的にも不合理ですしコスト的にもデメリットが多いのです。

主に大規模な建築物に採用されます。

イメージとしては点で建物を支える感じです。

ただし昔に建てられた家では独立基礎の家もありますが、現在は住宅の基礎はベタ基礎か布基礎になります。

基礎工事における疑問点

以上が基礎工事の種類になりますが、住宅を建築中の方、これから検討している方、他でも調べられた方でいろんな疑問やこれってどうなの?といったことがあると思います。

そこでよくある質問を紹介したいと思います。

鉄筋が錆びているが大丈夫なのだろうか?

基礎工事中、鉄筋が錆びてるけど大丈夫なんだろうか?強度的に問題ないのだろうか?と心配される方もいらっしゃるのではないでしょうか?

結論を言いますと大丈夫です!

鉄筋の製造し出荷する時には、サビ止めの鉱油を付着させて出荷しています。

なので、基礎作業する前は、サビがないキレイな鉄筋の状態です。

ですが、作業するうちに現場では、この鉱油がとれていきます。鉱油がとれてしまうと空気に触れて錆びが発生してしまいますが、この錆びは全く問題ありません。

鉄筋に生じている錆びは赤さびで鉄筋の表面に生じているだけで鉄筋自体の耐久には影響ありません。

むしろコンクリ-トと鉄筋をくっつきやすくしています。

鉱油が付着しすぎていると、逆にコンクリ-トとの付着が悪くなってしまいます。

少し錆が生じている位がコンクリートとの付着強度も強くなりますので、ピカピカの新品より少し錆びていた方が強い基礎が作れます。

自転車のチェーンを想像してもらうとわかりやすいと思いますが、

錆びてしまったチェーンで自転車をこぐとすごく重たいですがオイルを足せばすごく軽くなります。

そのペダルがすごく重くなってしまった状態が鉄筋が錆びている状態です。

つまりお互いががっちりと引っかかっているのでその分摩擦が大きくなります。

もちろん、みるからに腐食したような錆びだらけの鉄筋はダメですが・・・

コンクリートの打設中や打設後に雨が降っても大丈夫?

こちらも結論は状況にもよりますがよほどの大雨でない限り大丈夫です。

コンクリートはセメントと骨材と水を混ぜていますのでもちろん水の割合が大きくなれば強度品質に影響はありますが多少の雨であれば品質が落ちるほどの影響はありません。

コンクリートには水とセメントの比率を表す「水セメント比」というものがあります。言葉通り水とセメントの割合です。ただコンクリートの打設中この割合が崩れるにはすごいたくさんの水が必要になるため多少であれば問題はありません。

一般住宅の大きさの基礎であれば強度に影響が出るほどの水の量はとてもたくさん必要になります。

つまり強度に影響が出るほどの雨は結構な大雨になりますので小雨程度では問題ありません。

ではなぜ強度に問題ないのでしょうか。

答えはコンクリートの硬化条件にあります。

皆さんが思うコンクリートが固まる仕組みは、どろどろの状態のコンクリートが乾燥して水分がなくなるにつれて乾燥して硬くなっていく。

と思っている方がほとんどではないでしょうか。

実はこれは違います。

コンクリートが固まる条件は水との化学反応によって固まります。

セメントと水分がゆっくりと化学反応を起こすことにより固まっていき、約28日で80%くらいの強度になります。

硬化条件は乾燥ではありませんので水中の中でも固まります。

この化学反応を「水和反応」といいます。

ですのでコンクリートを打ち終わった後に雨が降ってきても問題はありません。

夏場でしたらむしろ恵みの雨になります。

夏場はコンクリート打設後、気温によりコンクリート中の水分が蒸発しすぎてしまうとまだ硬化しきっていないのに水分がない状態になってしまうので十分な強度を出せなくなってしまいます。

真夏日はこのように乾燥しすぎないように養生します。

このような問題があるため打設後の雨は恵みの雨になります。

しかし雨が降ると問題になることもあります。

それは駐車場などの土間コンクリートの仕上がり具合です。

土間コンクリートの場合は打設後に仕上げを行うのですが多少でも雨が降ってしまうとこの仕上がりに影響が出てしまいます。

強度的には問題はありませんが仕上げに雨の跡がついたり、水によってシミができたりと影響が出てしまうため土間コンクリートの場合は天気にシビアになります。

コンクリートの打継は何か処理が必要?

住宅基礎におけるコンクリートの打設において打設回数は基本2回になります。

まず横の面(ベタ基礎の場合は耐圧盤、布基礎の場合フーチングとも言います)を打設して、そのあとに立ち上がり部分を打設します。

この2回目と1回目のつながる部分を打継面といいます。

コンクリートは硬化するにつれて表面にレイタンスと呼ばれる不純物が浮いてきます。

言ってしまえばコンクリートの皮みたいなものです。

2回目の打設をする前にこのレイタンスを除去することにより1回目と2回目のコンクリートの接合をよくします。

この作業を打継処理といいます。

打継処理には複数あり

  • ブラシでこする
  • 高圧洗浄で吹き飛ばす。
  • 硬化前に打継処理剤を散布する

等があります。

ですが住宅の基礎コンクリートの立ち上がり部分は、鉄筋が入って一体化されているので強度不足になることはなく、基本的にレイタンス処理は不要です。

レイタンス処理は強度を出すための処理ですので一般住宅で行うことはほとんどありません。

打継面に対して垂直に荷重がかかるため強度的に問題ないといわれています。

RC構造の大きな建築物やダムなどに必要とされています。

また擁壁は一般的な壁と異なり、ダムと同じように横方向から常に圧力を受けるので、強度を増すためにレイタンス処理を行います。

住宅の場合は強度の問題はありませんが雨水の侵入などを防止するための打継処理をする場合があります。

打継面に止水材を入れたりなどがあります。

打継面が横になりますので水がつたって浸入してきます。そこで打継面に仕切り板のようなものを入れることにより水の侵入を防ぐことができます。

住宅の基礎の中には耐圧盤も立ち上がりもまとめて1回で打つ「一発打ち」もあります。

一発打ちでは打継面を作らないので上記の心配事は一切なくなります。

しかし一発打ちを行うためにはそれに必要な材料や、型枠を浮かして作る技術が必要なためすべての基礎業者ができるわけではありません。

また基礎金額も上がってしまうため、そこが検討材料になってしまいます。

今は2回に分けて打設するのがほとんどです。しかし基礎におけるトラブルやリスクをなくし、長い間家の安全を確保できるのは一発打ちです。

かといって2回打ちが悪いかといえばそんなことはありません。

基礎にお金をかけず内装にお金をかける。など家に対して重視するポイントは人それぞれです。あくまでもこんな方法もあると思ってもらえればと思います。

以上、参考になればうれしいです。

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