
住宅における断熱材はその住宅の快適性を求めるうえでとても重要です。
しかし断熱材は何となくはわかるけど壁の中で普段は見えないし詳しくはわからない人がほとんどではないでしょうか。
今回は住宅における断熱材の役割を説明したいと思います。
断熱材の役割
冬暖かく、夏涼しい。心地よく快適に、健やかに過ごせる住まい。
その住み心地に大きくかかわるのが断熱性能ですが、断熱材の種類はとても多く、特徴も様々です。
しかし、その目的や働きはすべて同じで、「小さな隙間」にできるだけ「たくさん」の空気を閉じ込めること。
断熱材の性能は熱伝導率(熱の移動の程度を表す数値)で表され、この数値が小さいほど熱が伝わりにくく、つまり
高性能な断熱材となります。

数字で見る断熱性能
先ほど小さな隙間に空気を閉じ込めるといいましたが、
実は空気は塩ビ・樹脂やガラス、木材よりも断然に熱を伝えずらい物質になります。
アルゴン・・・熱伝導率:0.016
乾燥空気・・・熱伝導率:0.0241
乾燥木材・・・熱伝導率:0.15~0.25
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鉄・・・・・・熱伝導率:83.5
ちなみに空気の上は真空、アルゴンガスになります。
熱を伝えやすいのが金属系になります。
例えば熱いコーヒーをスプーンで混ぜるとスプーンはすぐ熱くなりますね。
空気は気体ですのでなかなかイメージしづらいですが、わかりやすく説明したいと思います。

なぜ空気は断熱性能があるのか?
空気と言っても夏は熱く、冬は冷たくなります。
実は空気は移動(対流)することにより熱が運ばれます。(ほかにもいろいろ要因はありますが長くなりますのでここでは一例だけにします・・・)
冬場は冷たい空気が移動してくることにより、その温度が物質に伝わり、部屋の温度が下がっていきます。
ですが空気は移動しなければ熱を全然伝えないのです。
空気と気温の関係
空気が断熱性能に必須というのは具体的に言いますと、空気を物質として考えてください。
鉄などは熱すれば熱くなり、冷やせば冷たくなります。
空気も同じで、夏など暑い日は空気が熱されて熱くなり、寒い日は冷やされて冷たくなります。
その熱を持った空気がやってくることで、さまざまの物質に熱を伝えていきます。
つまり温度とは暖かかったり冷たかったりする熱(エネルギー)を持った空気が、ある物質に触れてその熱を伝えることで発生します。
空気と断熱の関係
断熱とは熱を持った空気を通さないように(熱を伝えないように)することです。
簡単に言うと、熱を持った空気が流れてきても、その途中に動かない空気の層を設ければ熱は伝わってこなくなります。
ダウンや羽毛布団をイメージして頂くとわかりやすく、動かない空気層をたくさん身の回りに集めて、熱を通しにくくすることで体温を閉じ込めています。
しかしダウンに穴が開いてしまうとそこから冷たい空気が流れ込んで一気に周りが冷たくなってしまいます。
このように空気は動かないからこそ熱を通しずらくします。

断熱材は物質の質量により変わってきます。
質量が少なければその分内部に空気があることになります。(密封が前提で中身スカスカ)
=熱を伝えずらい
質量が大きければその分中身が詰まっています。(中身がギッチリ詰まっている)
=熱が伝わってくる
発砲スチロールと鉄で考えるとわかりやすいと思います。
冬に発砲スチロールを纏うと意外と暖かいですが(笑)、冬に鉄を纏うとすぐに冷たくなると思います。
住宅における断熱材の役割
ほとんどの断熱材は、内部にできるだけ小さな隙間に空気を含むことができるように加工してあるわけです。
小さな空気の隙間を内部にたくさん抱え込むことで、基材の熱伝導率と空気の対流を抑えています。
空気が動かないからこそ外は寒くても中は暖かく、外は暑くても中は涼しくなるわけです。
また内部の温度を外に逃がさず、魔法瓶のように室内の温度を保ってくれます。
木材で考えてみても樹種によって異なりますが、密度がすごいある物質よりもスカスカな物質の方が熱を伝えづらいのです。

断熱材における注意点
断熱材はその隙間にある空気が移動(対流)してしまえば熱が伝わってきてしまいます。
つまり断熱材が破れていたりして穴が開いてるとそこから空気が侵入してきて熱が伝わってきます。
さらに注意点がありましてそれは空気が乾燥していることです。
湿ってしまうと熱を伝えやすくなります。
その理由は水分が熱を通しやすいからです。
なので住宅に使われる断熱材は濡れてしまうと性能がダウンするので水濡れ厳禁です。
最後に
断熱はなかなか奥が深いです。
断熱材はいろいろあり、情報もあふれていて、、。ややこしいですが、シンプルに断熱材の目的と原理をなんとなく掴んでもらえたらいいなと思います。
空気を動かさないように閉じ込めて家を覆い、熱を伝えない。
断熱でいえば窓もそうです。
最近の住宅サッシは2層ガラスが主流ですが、それは2層のガラスの間にアルゴンガスや乾燥空気などの
熱の伝えずらい層を設けることで外の熱を室内に伝えないようにして、なおかつ室内の快適な温度を外に逃がさないようにしています。

そしてこの断熱性能を十分に発揮するのに必要なのが「気密性」になります。
この「気密性」についてはまた長くなりますので次回に機会があれば紹介させていただこうかと思います。
以上、参考になればうれしいです。
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